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糖尿病のためのインスリン自動投与デバイス

糖尿病治療の基本は食事療法と運動療法です。

食事療法や運動療法で血糖値をコントロールできないときに薬物治療が開始されます。

さらに、薬物治療で血糖のコントロールが不充分であればインスリン投与が開始されます。

最近のインスリン投与器具は非常に進化し、簡便で痛みもほとんどありません。

しかし、食事直前に自分で皮下注射する必要があることから、煩雑さや、腹部などに投与するため人前では注射できないなどの面倒さが伴います。

そこで、経鼻投与、経皮投与などの方法やデバイスも開発されていますが、

アメリカで自動的にインスリンを投与してくれるデバイスが承認されました。

糖尿病のインスリン自動投与デバイスが承認された

通常、薬物療法で血糖値のコントロールが不充分な場合には、インスリンの注射が開始されます。

最近のインスリン注射デバイスは非常に進歩して、痛みもなく、注射も自分で簡単に自己注射できるようになりました。

しかし、1日に数回の皮下注射は仕事をしている方や外出時には、

  • インスリン注射デバイスを持ち歩く必要がある
  • 腹部への投与は人前ではできない

など、大きな負担になります。

 

そんな、インスリンの自己投与をおこなっている人に朗報です。

アメリカの、FDA(日本の厚労省に相当する政府機関)は、

 糖尿病患者の血糖値をモニターし必要量のインスリンを自動投与してくれるデバイス

について、医療機器として承認を下しました。

このデバイスを開発したのは、アイルランドの医療技術メーカーMedtronic社で、「MiniMed 670G」という製品です。

FDA Approves World’s First Automated Insulin Pump for Diabetics

The US Food and Drug Administration has approved Medtronic’s MiniMed 670G, a medical device that monitors a diabetic’s sugar levels, and then automatically injects the required dose of insulin.

This first-of-its kind automated insulin delivery system was approved for people over the age of 14 who have type 1 diabetes, and it’s poised to make life considerably easier for the millions of Americans who suffer from this condition.

  詳しく見る ⇒ Medtronicプレスリリース

今回の承認は、14歳以上の1型糖尿病患者におけるの使用で、1型糖尿病患者ではインスリンの分泌が不充分であるため、インスリン投与が不可欠で、患者は決まった時間にインスリン自己注射をしなければならないのですが、MiniMed 670Gは、インスリン投与をほぼ自動的に行なってくれるのです。

このデバイスは、

腹部に、

  • 血糖値をモニターするセンサー
  • インスリンポンプ

を装着し、センサーによって皮下の血糖値をモニターし、インスリンポンプはインスリン投与量を自動的に調整してカテーテルで投与します。

 

しかし、週に2回、インスリンを補充する必要があることや、スマートフォンサイズのモニターを装着しなければならないことなど、まだ、完全な自動投与デバイスとはいえないようです。

今回、MiniMed 670Gの適応が承認されたのは、14歳以上の1型糖尿病患者で、2017年春以降にリリースされる予定です。

Medtronic社は、14歳以下の患者への適応にも対応できるように開発を進める予定ですが、2型糖尿病患者への適応には言及していません。


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インスリン投与は早めに

2型糖尿病では、食事療法、運動療法、そして経口糖尿病治療薬でも血糖値をコントロールができない場合にはインスリン投与が行われます。

インスリン投与は糖尿病が重症化してからとのイメージがあるのですが、最近は糖尿病の病期が比較的早期でもインスリン投与が開始されるようです。

国立国際医療研究センター糖尿病情報センターの「糖尿病標準診療マニュアル」によれば、複数の経口血糖低下薬を併用しても血糖のコントロールが不充分で、HbA1c 8.5%以上の場合には、積極的にインスリン療法を始める必要があるとしています。

 

投与するためのインスリン製剤も改良が進んでいます。

  • 超速効型 : 注射後すぐに作用する
  • 持効型溶解型 : 長時間緩やかに作用する

などがあり、

持効型溶解型は、1日1回の投与でインスリンの作用のピークがなく、血糖降下作用も24時間以上持続し、血糖値を平坦に推移させることができるのです。

 

2016年5月に京都で開催された「第59回日本糖尿病学会」においても、

持効型溶解インスリンによって、

  • 夜間を含めた低血糖を抑えられる
  • 1日の血糖変動が小さくなり食前血糖値が安定する
  • 1日1回の注射で効果を得られる

といった多くの有用性が報告されています。

 

インスリン自己投与に使われている注射用注射針は、

  • 31G (直径0.25mm)
  • 32G (直径0.23mm)

といった太さで、採血の時の針の太さの1/3~1/4の太さで、34G(0.18mm)という更に細い針も使われているため、痛みは全くといって良いほど感じません。

注射の手技も非常に簡単で、ほとんどの患者は1回の指導で自己注射するようになるそうです。

 

さらには、

  • 経鼻投与による方法
  • 経皮投与による方法

の開発も進んであり、インスリン自己注射は更に進みそうです。

 

しかし、インスリン注射をはじめたら、生涯に亘って続けなければならいのです、、、

糖尿病は、できるだけ早期に、食事療法と運動療法で治した方が賢明なのです。


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