糖尿病では認知症のリスクが高いことは良く知られています。
九州大学の研究チームは糖尿病患者では脳が萎縮していることを明らかにしました。
糖尿病の人は、認知症を発症していなくても脳の異変が始まっている可能性があるそうです。
血糖値が高いなら放置してはいけません。
自覚症状がなくても、あなたの知らないところでドンドン進行しているのでう。
糖尿病患者では脳が萎縮している
九州大学の研究チームは、2016年の米国糖尿病学会で、
糖尿病になると記憶にかかわる脳の海馬という部分の萎縮が進む
との研究成果を発表したと、2016年6月15日の朝日新聞で報じられた。
九州大学の研究チームは、福岡県久山町の住民を対象に、糖尿病に関する大規模で長期に亘る疫学調査を行っている
その中で、「糖尿病の人はそうでない人に比べて認知症のリスクが約2倍高まる」ということを明らかにしている。
詳しく見る ⇒ 糖尿病では認知症になりやすい
今回の発表は、糖尿病患者では実際に脳がダメージを受けていることを示したもので、
糖尿病患者では記憶にかかわる脳の海馬という部分の萎縮が進む
ということを明らかにしたのだ。
今回の研究では、久山町内の、
- 65歳以上の1,238名(286名が糖尿病)について、
- 頭部MRIで脳容積を測定
して、脳容積と糖尿病との関連を調べたのです。
脳容積については、脳の大きさの個人差を解消するため、脳の容積そのものではなく、頭蓋骨の容積に占める脳の容積の割合、を指標に、脳の萎縮の程度を評価したのです。
その結果、
- 糖尿病の病歴が長いほど脳の容積が小さくなる傾向がある
- 糖尿病の病歴が長いほど海馬の容積が小さい
ということが判明したそうです。
海馬というのは、脳の奥の方にある脳の部位で、記憶に関与している部分ですが、
- 糖尿病の病歴が10~16年の人の海馬は糖尿病でない人に比べて約3%小さい
- 糖尿病の病歴が17年以上の人の海馬は糖尿病でない人に比べて約6%小さい
ということが分かったのです。
糖尿病では高血糖により血管壁が障害を受けることにより、糖尿病性神経症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの合併症が発生するのですが、同時に脳もダメージを受けているのです。
脳の萎縮には食後高血糖が関わっているとみられ、
認知症を発症していなくても脳の異変が始まっている可能性があるということなのです。
研究チームのリーダーである秦淳准教授は、糖尿病は脳卒中などのリスクも高めるので、まずは糖尿病にかからないよう注意してほしいとコメントしています。
糖尿病による認知症は運動療法、それも非常に軽い運動で「認知症が改善した」と報告されています。
また、
米国の研究では、有酸素運動で糖尿病の認知症が改善したとの報告もあり、糖尿病による認知症の予防や改善には運動が有効のようです。
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糖尿病ではアルツハイマーになりやすい
今回の発表は、高血糖で脳が萎縮する、それも記憶に関与する海馬の萎縮が顕著だということが明らかになったのですが、糖尿病ではアルツハイマー病になりやすいということも明らかになっています。
九州大学の久山町の疫学調査では、
研究に参加している人が死亡すると病理解剖を行って、死因の解明を行っているのですが、その中で、中高年の時に糖尿病だった人とそうでない人が、20年後、30年後に認知症になる割合についても統計調査を行っているのです。
その結果、
死亡時にアルツハイマー病だった人と、そうでなかった人では、
脳の神経細胞の遺伝子の働きが大きく違っていた
のです
アルツハイマー病だった人の脳の神経細胞では、
- インスリンの働きに必要な遺伝子が働いていない
- インスリンの働きを邪魔する遺伝子が活発になっていた
のです。
糖尿病では、高血糖によるインスリン分解酵素の低下により、アミロイドβの分解能が低下し、アミロイドβの蓄積によるものと推察されているのです。
さらに、
糖尿病の人がアルツハイマー病を発症しやすいもうひとつの理由は、
糖尿病の高血糖は脳の動脈硬化を促進する
からです。
脳の血管の動脈硬化が進めば脳梗塞の発症リスクが高くなり、血管性認知症にもなりやすくなるのです。
さらに食後の食後高血糖が続くと、
終末糖化産物が脳の神経細胞にダメージを与えることも最近の研究で分かってきました。
高血糖は、糖尿病性神経症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの副作用を引き起こすだけでなく、認知症の原因でもあるのです。
このまま高血糖を放置しますか?
それで良いのでしょうか?
高血糖は脳の萎縮を起こし痴呆症の原因になるのです。
このまま、高血糖を放置しするつもりですか?
高血糖を解消することは意外と簡単なのです。
ご飯やパンの量を少し減らすだけです。
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