健康診断で、
「“境界型”糖尿病」といわれた、、、
どうすれば良いのでしょうか。
糖尿病の診断方法
糖尿病の診断法には3つありますが、あなたはどんな検査を受けたんだろうか。
① 随時血糖検査
採血時間を決めないで採血し、血糖値を測る検査です。
診断 : 血糖値が200mg/dL以上の場合は、「糖尿病型」と診断されます
② 早朝空腹時血糖検査
最も一般的な検査で、検査当日には朝食を食べないで空腹の状態で採血し、血糖値を測る検査です。
診断 : 血糖値が126mg/dL以上の場合は、「糖尿病型」と診断されます。
③ 75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)
人間ドックや、糖尿病の確定検査で行われる検査で、検査当日の朝まで10時間以上絶食した空腹のまま採血して、血糖値を測り、次に、ブドウ糖液(ブドウ糖75gを水に溶かしたもの)を飲み、ブドウ糖負荷後、30分、1時間、2時間後に採血して血糖値を測る検査です。
診断 : 2時間目の血糖値が200mg/dL以上の場合は、「糖尿病型」と診断されます。
糖尿病の確定診断
上記の3つの検査のうち、いずれかの血糖値に異常があれば「糖尿病型」と診断され、別の日にもう一度検査をして、ふたたび「糖尿病型」と診断された場合、「糖尿病」と確定診断されます。
糖尿病の境界型とは
上で述べたように、2回の検査で、
① 随時血糖値200mg/dL以上
② 早朝空腹時血糖値注1)126mg/dL以上
③ 75gOGTT2時間値200mg/dL以上
の場合に糖尿病と診断されます。
しかし、正常と診断されるには、
④ 早朝空腹時血糖値110mg/dL未満
⑥ 75gOGTT2時間値140mg/dL未満
である必要があり、その中間の人が「境界型」と判定されるのです。
まとめると、
下記の表のようになります。
糖尿病型 | 空腹時血糖値が126mg/dl以上 または ブドウ糖負荷試験血糖値が200mg/dl以上ブドウ糖負荷試験は通常、空腹時血糖値が高めの人を対象に、2次検査として行われます。 糖尿病型の場合、さらに後日の検査で同様の結果がみられると、糖尿病と診断されます。 |
境界型 | 糖尿病型と正常型の間の血糖値 ・空腹時血糖値が110mg/dl以上~126mg/dl未満 ・ブドウ糖負荷試験血糖値が140mg/dl以上~200mg/dl未満 |
正常型 | 空腹時血糖値が110mg/dl未満 および ブドウ糖負荷試験血糖値が140mg/dl未満 |
「境界型」は、「糖尿病型」、「正常型」いずれにも該当しない、中間のグループということになります。
どうして境界型に分類するのか
糖尿病でもなければ正常でもない、、どうしてこんな中途半端な区分になっているのでしょうか。
従来、我国における「空腹時血糖値の正常値」は110mg/dL以下に定めていました。110mg/dL未満の人を長期追跡しても糖尿病の発症を発症する人はほとんど認めないという成績に基づいて定めらた基準です。
しかし、近年の観察では、空腹時血糖値が110mg/dL未満でも、100m/dL以上である場合には、100mg/dL未満の人に比べて糖尿病への移行する率が有意に高いことがわかってきました。
空腹時血糖値100~109mg/dLの人を対象に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行えば、その25~40%が境界型や糖尿病型に属するので、基準値を110mg/dLから100mg/dLに引き下げることによって、これらを見逃す可能性を低下させることができるのです。
一方、もし「空腹時血糖値の正常域」を100mg/dL以下に改訂した場合は、糖尿病に悪化する危険がそれほど高くないものの空腹時血糖値が境界域と判定される人が増加してしまいます。実際、OGTTを行うと、従来の基準では60~75%が正常型に属するにもかかわらず、これらの人も境界型になってしまうのです。
従って現時点では、空腹時血糖値が100~109mg/dLの人を一律に境界域あるいは空腹時血糖値99mg/dL以下と同一の正常域として取り扱うべきではなく、正常域の中で正常高値とするのが適切だとされているのです。
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境界型と診断されたら
境界型の人はまだ糖尿病ではありませんが、今の生活を続ければ、数年以内に糖尿病に移行する確率が高いことが統計的に明らかになっています。
境界型と判定された人は、糖尿病の予備群です。
ですから、「境界型」だから「糖尿病型」ではないので安心と思ったら大きな間違いです。
「境界型」とは、今の生活をこのまま続けると、近い将来、糖尿病になったり、合併症を起こしたりする可能性がある状態、つまり「糖尿病型」に準じた状態だと思ってください。
しかし、この段階で食生活を見直したり、運動不足などのライフスタイルを積極的に改善したりすることによって、糖尿病発症を高い確率で抑えられることがわかっています。
糖尿病で怖いのは糖尿病性合併症を引き起こすことです。
境界型では、細い血管での合併症を起こすことはほとんどありませんが、食後の血糖値が高いことから、動脈硬化症(太い血管の合併症)が起こりやすいのです。
境界型には2つのタイプがある
境界型には、
① 空腹時の血糖値が高い「境界型」
② ブドウ糖負荷試験2時間後の血糖値が高い「境界型」
の2つが有ります。
糖尿病に移行しやすいことではどちらも同じですが、
2時間後血糖値が高い境界型では動脈硬化が進みやすいのです。
動脈硬化は血管が狭くなったり、つまったりして、血液がスムーズに流れなくなる病気で、心臓の血管に動脈硬化が起こると、狭心症や心筋梗塞を起こしやすく、頭の血管に動脈硬化が起こると、脳梗塞になります。
また、足の血管に動脈硬化が起こると、閉塞性動脈硬化症という病気になり、足の冷えや知覚障害などの症状が出ます。
境界型から糖尿病にならないためには
境界型と診断された人の中の4~6%は、毎年、糖尿病へ移行しているといわれています。
境界型の人が糖尿病になるのを防ぐには、
- 食生活の改善で減量すること
- 適度な運動をすること
が大切です。
食生活の改善による減量と適度な運動によって、糖尿病への移行を防ぐことができますが、減量といっても、いわゆる標準体重まで減らさなくても、現在の体重を5~10%減らすだけでも、効果があるといわれています。
食生活の見直しと減量が糖尿病への移行を防いでくれるのですが、これはあなたしかできないことなのです。
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