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    Categories: 再生医療

糖尿病における膵臓の再生医療

糖尿病の根本療法のゴールはインスリン分泌の正常化です。

1型糖尿病や、インスリン注射が必要となった2型糖尿病ではなかなか困難です。

様々な疾患で再生医療の研究が盛んですが、糖尿病でも膵臓の再生医療の研究が進んでいます

大塚製薬の膵臓の再生医療

2016年3月17~19日に大阪で第15回再生医療学会総会が開催されましたが、大塚製薬の研究グループは興味深い研究成果を発表しました。

これは、「臨床に向けて、再生医療と異種移植の接点」という日本異種移植研究会とのジョイントシンポジウムで発表されたものですが、

ブタ膵島を用いた異種膵島移植の臨床応用
 松本 慎一 ((株)大塚製薬工場 研究開発センター)

という演題です。

徳島の大塚製薬工場の研究グループは、豚の膵臓を糖尿病患者に移植する研究を行っており、アルゼンチンで行われた臨床研究で、糖尿病患者に豚の膵島を移植したところ血糖値が下がるなどの有用性が確認されたという内容でした。

日本異種移植研究会会長の宮川氏によれば、「日本でも複数の研究グループが来年以降の臨床研究を目指している」とのことでした。

糖尿病の再生医療・DIABECELL

糖尿病の膵臓再生医療といえば現状では脳死者から採取した膵臓の膵臓移植です。

しかし、提供者が少なく、国内では年間数例に留まっています。

豚の膵臓移植を行っているのは、塚製薬工場の合弁子会社であるニュージーランドDiatranz Otsuka社が中心になっています。

大塚製薬工場は2014年10月10日、ニュージーランドのDiatranz Otsuka Limited(DOL)社と人工膵島「DIABECELL」についてライセンス契約を締結しています。

DIABECELL(ディアベセル)は、DOL社が開発した製品で、無菌で飼育した豚の膵臓からインスリン分泌細胞を含む膵島を取りだしカプセルに閉じ込めた、カプセル化ブタ膵島細胞です。

カプセルは、アルギン酸PLOカプセルといわれる特殊なカプセルで、膵島から分泌されたインスリンをカプセル外に通し、カプセル外のブドウ糖をカプセル内に通しますが、人間の免疫細胞はカプセル内に進入出来ないため、移植後に免疫抑制剤も不要で拒絶反応も起こらないのです。

カプセル内のブタ膵島細胞は、血糖値が上昇すると正常な膵臓細胞と同じようにインスリンを分泌するので、糖尿病患者の腹腔内に移植することによってインスリン分泌が足りない糖尿病患者の治療に用いることができるのです。

このカプセル内の膵臓細胞は場合によっては移植後も10年以上も生存することが出来るそうですから、糖尿病の根本療法として期待できるのです。

 

大塚ホールディングスは、Living Cell Technologies社の株式8.2%を保有し、中国、日本を除くアジア地域でのDIABECELLの開発・販売権を取得しており、共同でDIABECELLの共同開発を進めているのです。

2009年には、ニュージーランドで8名の1型糖尿病患者での臨床試験では1日のインスリン投与量が40%減少した患者や、移植後にインスリンの投与が必不要になった患者がいることも確認されており、2010年にはロシアで販売承認を受けています。


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糖尿病における膵臓の再生医療の現状

糖尿病治療のゴールはインスリンの正常な分泌です。

しかし、自己免疫などによりインスリン分泌細胞が破壊されてしまうような1型糖尿病や、インスリン投与が必要になった重度な2型糖尿病患者においてインスリン分泌を正常化することは容易ではありません。

そこで、糖尿病においても再生医療の研究が進んでいるのですが、

  • 膵臓の臓器移植

に頼っているが現状です。

膵臓移植の成功率は、1年後の膵臓生着率は90%、3年後で80%、5年後で70%と非常に定着率が高いのですが、我が国では臓器移植の普及は低く、現在世界では40,000例以上が行われていますが、国内では200例程度で、年間では10例に満たないといわれています。

 

さらに、脳死患者からの膵移植では、血液型、HLA型により数年以上待機しなければならず、膵移植による再生医療は非常に困難状況なのです。

膵島移植による膵臓の再生医療

膵臓移植では、1例の提供者から1例の患者にしか移植できませんが、膵臓のインスリン分泌細胞が含まれる膵島と呼ばれる部分のみの移植が膵島移植です。

この膵島移植はカナダ、エドモントンにあるアルバータ大学によって確立され、2~3人の脳死提供者から分離した膵島組織を7人の1型糖尿病患者の肝臓の血管内に移植し、7人全員がインスリン投与が不要になった(インスリン離脱)と発表し、それを契機に世界に普及しました。

国内でも京都大学や東北大学などで行われていますが、インスリン離脱率は移植後1年では80%を越えていますが、3年経つと約24%に、5年経過で約10%となるなど、現在の技術では、複数回の移植が必要であること、膵島の長期間の維持が困難であるなどの問題点があるのです。

iPS細胞による膵臓の再生医療

2015年2月、京都大学iPS細胞研究所の研究チームは、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から膵臓のもとになる「膵芽細胞」を作製することに成功したと発表しています。

この「膵芽細胞」をマウスに移植したところ、胎児の膵臓に似た組織構造が形成し、血糖値の変化に応じてインスリンを分泌する膵β細胞へ分化したと報告されています。

これは、幹細胞が「他の細胞に変化する」という特性を活かして、インスリンを作るβ細胞を人工的に作りだすことができ、さらに患者の幹細胞を利用すれば拒絶反応も起こりにくく、1型糖尿病などの根本的な治療法となる可能性があります。

さらに、iPS細胞からβ細胞を分化誘導させる方法のほか、膵幹細胞や外分泌細胞、α細胞などをβ細胞に転換させる方法、β細胞を自己増殖させる方法など、さまざまな方法が試みられていて、一部については試験管レベルの実験系では成功しているものもありますが、いずれも臨床応用にはまだ高いハードルがあり、糖尿病患者への応用は10年単位の研究が必要だとみられています。

糖尿病における膵再生医療は進んでいるとはいえ実現には長い時間がかかると思われていましたが、厚労省はブタ膵臓の異種移植を承認する見込みで、数年に何のこの技術の臨床試験が開始されそうです。

しかし、まずは1型糖尿病患者が対象で、2型糖尿病患者に適用されるまでには時間がかかりそうです。

血糖値が高いといわれたら、できるだけ早く食事療法に取り組んで下さい。


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