今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
糖尿病の原因には様々ありますが、
不眠や睡眠不足も糖尿病の原因だと言うことをご存じですか?
睡眠時間が短かったり不眠症では糖尿病のリスクが上がるのです。
睡眠不足や不眠症は糖尿病だけでなく、がんやうつの原因でもあるのです。
しかし、睡眠は時間ではなく、
良い睡眠とは睡眠の質なのです。
不眠や睡眠不足は糖尿病の原因
糖尿病は生活習慣病として肥満や運動不足がその誘引だと重視されていました。
糖尿病患者では不眠に悩む人が多く、
糖尿病患者の40%が不眠に悩まされている
と言われています。
最近、睡眠不足や不眠が糖尿病を引き起こすのではないかと注目されているのです。
特に、睡眠の質が糖尿病と大きく関わっていることが明らかになってきました。
特に、不眠の女性は糖尿病のリスクが高いともいわれています。
食事によって血糖値は急激に上昇します。これは食後高血糖と言って、
食事で摂取した炭水化物がブドウ糖に分解されて体に取り込まれたからです。
血中のブドウ糖はインスリンの働きによって各組織でエネルギー源として使われ、食後高血糖は食後数時間で食事前のレベルまで低下し、血糖値は常に狭い範囲内で維持されています。
睡眠不足や不眠は体のリズムを壊し、ホルモンバランスの乱れが生じます。
ホルモンバランスの乱れは、インスリン分泌の低下やインスリンの効果を低下させ(インスリン抵抗性)、
血中のブドウ糖がスムーズに組織に取り込まれなくなり、血糖値が下がらなくなってしまうのです。
さらに、
睡眠不足や睡眠の質の低下は、
食欲を促進するホルモンの分泌を増加させたり、
逆に食欲を抑制するホルモンの分泌を低下させたりすることによって、
食べ過ぎから過食を招き、肥満を助長することによってますます糖尿病を悪化させてしまうのです。
不眠は糖尿病のリスクが1.7倍
アメリカのペンシルベニア州立大学の研究グループは、不眠症や短時間睡眠と糖尿病との関係について報告している(Diabetes Care. 2009 Nov;32(11):1980-5.)。
研究グループは、1年以上にわたって不眠や、なかなか睡眠につけないなどの睡眠障害にある1,741人を対象に、
- 睡眠時間が6時間以上 (正常群)
- 睡眠時間が5~6時間 (睡眠不足群)
- 睡眠時間が5時間以下 (不眠群)
に分け、糖尿病発症との関係を調べたのです。
その結果、不眠症群では正常群に比べて1.7倍も糖尿病になるリスクが高いことが分かったのです。
研究グループは、慢性的な不眠症は糖尿病など代謝循環器系の疾患のリスクを高めるとコメントしています。
Sponsored Link
大阪市立大が不眠と糖尿病の関係を解明
大阪市立大学の稲葉雅章教授らの研究グループが、
糖尿病の血糖コントロール悪化で睡眠の質の劣化を伴う睡眠障害が引き起こされるメカニズムが明らかになったとプレスリリースしました。
詳しく見る ⇒ 大阪市立大学プレスリリース
稲葉雅章教授らは、
糖尿病における血糖コントロールが悪化することで「睡眠の質」が低下し、
睡眠障害が引き起こされることによって早朝高血圧が起こり、
さらに糖尿病における血管障害が引き起こされるとしています。
このサイトでも詳しく紹介していますので、まだ読んでおられない方は下記をご覧下さい。
詳しく見る ⇒ 糖尿病と不眠症の関係を解明
Sponsored Link
不眠や睡眠不足は様々な病気を引き起こす
睡眠不足が糖尿病を引き起こすことについてはその他にも多くの論文が報告されており、もはや疑いの余地がないのですが、
睡眠不足や不眠症は糖尿病の他にも様々な病気を引き起こすのです。
私達の体は「体内時計」といわれる、私達の体に備わっている時計に沿って動いているのですが、体内時計が狂うことによって、がん、高血圧症、糖尿病などのリスクが増大するのです。
体内時計とは、私達の体に備わっている、1日のリズムを刻む司る時計で、
意識しなくてもほぼ24時間の周期で、日中は活動状態に、夜間は休息状態に切り替わり、
体内時計の働きで夜になると自然な眠りに導びかれ、毎朝光を浴びることで体内時計がリセットされ、一定のリズムをくりかえすのです。
体内時計は脳の底部にある視床下部にある視交叉上核(しこうさじょうかく)と呼ばれる部位が司っており、
朝に光を浴びると体内時計はリセットされて活動状態になり、体の各部分が活動を開始するのですが、
およそ14~16時間経過すると体内時計の指令により睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されて睡眠に入るのです。
メラトニンの分泌朝早く目が覚めてしまったり、するのは、
加齢により分泌量が減少することから、夜中に目覚めてしまったり、年齢を重ねると分泌量が減るため、
年をとると夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めたり、若い頃より睡眠時間が減ってくるのです。
メラトニンの不足が病気を誘発する
メラトニンには、
睡眠を誘発するほかにも、
- 抗酸化作用
- 免疫増強作用
- 抗がん作用
- 抗うつ作用
などがあり病気の予防や老化の防止にも効果があるのですが、
体内時計が乱れてメラトニンの分泌が減ると病気のリスクが増すことになるのです。
代表的な例として、
⇒ 交代勤務や夜勤の男性では前立腺がんのリスクが3倍(英文)
これらでは、メラトニン分泌低下によって免疫力やがん細胞の増殖を抑制する作用が弱まりがんの発症リスクを高めると考えられているのです。
良い睡眠をとることが大事
睡眠は時間ではありません。
良い睡眠とは「睡眠の質」です。
短い時間でも質の高い睡眠をとれば体に良く、様々な病気からも守ってくれるのです。
昼食を摂った後の10分間の午睡で凄くグッスリ寝た!という感じた経験はありませんか?
それが質の良い睡眠なのです。
睡眠は時間ではありません、質なのです。
良い睡眠をとれば糖尿病やがんを防ぐことができます
関連記事(一部広告を含む)