若い人の糖尿病ではGERD(逆流性食道炎)が多い

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

若い人の糖尿病患者では逆流性食道炎が多いことが判明しています。

逆流性食道炎とはGERDともいわれ、胃液が食道に逆流する病気です。

腹部や胸にかけて刺すような痛みや胸焼けが症状です。

 

糖尿病で胃や胸が痛いならGERDといわれる逆流性食道炎かもしれません

 

血糖値が高いあなたもその様な症状を感じたら逆流性食道炎かもしれません

 

糖尿病患者にどうして逆流性食道炎が多いのか?

逆流性食道炎ならどうしたら良いのでしょうか?

 

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若い人の糖尿病では逆流性食道炎が多い

愛媛大学の池田宜央教授らの研究グループは、

  若年型糖尿病ほど胃食道逆流症(GERD)が多い

ことが分かったと、科学雑誌Digestive Diseases and Sciencesに発表しました。

 

Age and Prevalence of Esophageal Reflux Disease in Japanese Patients with Type 2 Diabetes Mellitus: The Dogo Study.

CONCLUSIONS
 Younger age may be independently positively associated with GERD among Japanese type 2 diabetes mellitus patients, regardless of the use of PPI or H2RA.

 

これは、以前にもご紹介しました道後Study(道後研究)といわれる疫学調査の成果によるものでですが、道後Studyとは、2009年から愛媛大学の疫学・予防医学と消化器・内分泌・代謝内科が中心になり、県内の関連医療機関と共同で、生活習慣や健康状態についての疫学調査をなのです。

道後Studyではすでに、

なども判明しており、既にご紹介したとうりです。

 

今回の研究は、

糖尿病患者における年齢とGERDの関連を検証したものです。

研究では、

2009~2014年に糖尿病と診断された患者1,051人を追跡調査し、患者の年齢とGERD有病率との関連を検討したものです。

その結果、

  1. 対象患者全体のGERD有病率は31.5%
  2. 年齢が若いほどGERD有病率が高い

ことが判明したのです。

  くわしく読む ⇒ 原著論文

 

逆流性食道炎とは

逆流性食道炎とは食道に胃酸や胃の内容物が逆流して胸焼けや吐き気などの症状のことで、

英語では、Gastro-Esophageal Reflux Diseaseと言われることから、GERDやsymptomatic GERDといわれます。

ただし、

  1. 逆流性食道炎(RE)
  2. 胃食道逆流症(GERD)

と、2つが有るので要注意です。

逆流性食道炎(RE)と胃食道逆流症(GERD)の原因はほとんど同じですあが、

  1. 食道に炎症やただれや潰瘍があれば、逆流性食道炎(RE)
  2. 食道に炎症やただれや潰瘍がなければ、胃食道逆流症(GERD)

ということで、確定診断は内視鏡検査などで炎症やただれの有無を判定します。

 

一般的には、胃食道逆流症(GERD)には逆流性食道炎があるものと、

食道炎がはっきりしないものの胃液の逆流が原因となって胸やけなどの症状があるものとの両方が含まれていると考えてください。

 

やや難しくなってしまいましたが、

要するに、胃食道逆流症(GERD)は、

胃液が食道に逆流することによって起きる症状

なのです。

 

胃液は食べた物を殺菌、消化するため非常に強い酸性であることはご存じだと思います。

胃の内壁は胃酸の酸性でも耐えられるように粘膜で保護されているのですが、

食道はそのような保護作用がないため、胃液が逆流して食道に流れ込んでくると、

  • 胸やけ
  • 胸の痛み

などの症状が現われるのです。

そして、それが度重なると食道内壁が障害を受けて逆流性食道炎(RE)という病気と診断されるのです。

健康な状態では、胃液や胃の内容物が逆流しないように、

食道の下部食道括約筋といわれる筋肉で食べ物が逆流しないようになっているのですが、

種々の原因によって下部食道括約筋の働きが悪くなると、胃液や食べ物が逆流し、「逆流性食道炎」が起こるのです。

逆流性食道炎の症状

逆流性食道炎の症状は、

  • 胸やけ
  • げっぷ、嘔吐
  • 呑酸(食後に酸っぱい胃液が逆流する)
  • 咳、喉の違和感、声のかすれ(胃酸の影響による)
  • 胸の痛み

などです。

特に、胸の痛みは強烈で、心臓に異変が起こったのかと勘違いするような刺すような胸の痛みです。

逆流性食道炎の原因

逆流性食道炎は、もちろん、糖尿病以外の人にも多く起こりますが、

その原因は、

  • 食べ過ぎ
  • 脂質、たんぱく質の摂り過ぎ
  • 加齢
  • 肥満

だといわれています。

 


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どうして糖尿病で逆流性食道炎が多いのか

逆流性食道炎では、

  1. 胸焼け
  2. 呑酸
  3. 胸の痛み

など、特徴的で明確な自覚症状が出やすいため、受診して医者の診断を受けなくても自分で容易に異常に気付く病気です。

しかし、

糖尿病患者では、逆流性食道炎が進行しているにもかかわらず、自覚症状に気付きにくいといわれています。

 

糖尿病の人では、糖尿病出ない人に比べて逆流性食道炎が2倍以上多いと報告されています。

さらに、

血糖コントロールが悪いほど逆流性食道炎が発生しやすく、糖尿病の病歴が長いほど逆流性食道炎の発生も高くなるのです。

糖尿病患者で逆流性食道炎が多い理由

糖尿病患者で逆流性食道炎が多い理由は、

 糖尿病患者では神経障害がおこり知覚が鈍感になってくるため

だと言われています。

さらに、

糖尿病患者では、

  • 自律神経障害がおこる
  • 唾液の分泌量が減り胃液が中和されない
  • 神経障害により食道蠕動が低下する

なども、逆流性食道炎の発症が高い理由だとみられているのです。

 

糖尿病の三大合併症は、

  1. 神経障害
  2. 網膜症
  3. 腎症

ですが、

近年の研究では、「神経障害」と「逆流性食道炎」との関係が指摘されているのです。

 


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糖尿病での逆流性食道炎を防ぐには

逆流性食道炎が進行すれば、

最悪の場合には、

  • 食道潰瘍
  • 食道裂孔

などにいたる場合もあるのです。

 

逆流性食道炎を防ぐには、

なんといっても、血糖をコントロールする

ということです。

そして、

  • 胸やけなどの症状があるとき医療機関を受診
  • 胃酸の分泌を抑える治療薬の服用

という対応が必要です。

 

食生活では、

  1. 食べ過ぎ
  2. 脂肪の多い食事
  3. 蛋白質の多い食事

に注意することも大事なのですが、

 

 

糖質制限の先駆者である高雄病院理事長の江部 康二医師は、

 

逆流性食道炎の症状を訴える患者さんのほとんどが、糖質制限食開始の瞬間から改善します。
当初、私自身が信じられなかったのですが、もう40人以上に試してみて、脂っこいものより炭水化物が胸やけを起こす真犯人と確信しました。
ここまでくると、逆流性食道炎は、精製炭水化物の過剰摂取が根本要因である可能性が極めて高いと思います。

と述べています。

逆流性食道炎の症状は、糖質制限食で改善する例がほとんどだというのです。

このサイトでも何回も書きましたように、糖質制限はアメリカ糖尿病学会も認容しているように、

糖尿病の血糖値コントロールに非常に良い食事療法なのです。

 

江部医師は、

糖質摂取で胸やけが生じるかはまだよくわかりません、としていますが、

糖質制限で

  1. 血糖値が下がる
  2. 逆流性食道炎が治る

ということであれば、一挙両得だと思われます

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