どうして酢は糖尿病に良いのか?

糖尿病には酢が良いと言います。

玉ねぎ酢

バナナ酢

など、糖尿病に良いと伝える健康雑誌が溢れています。

しかし、

酢はどうして糖尿病に良いのでしょう?

ご存じですか?

酢の種類

酢が糖尿病にどうして効果があるのかを調べる前に、酢とは何かを知っておいてください。

食用として販売される酢は農林水産省のJAS規格に基づいて、

  1. 醸造酢
  2. 合成酢

に分けられます。合成酢は、氷酢酸や酢酸を水で薄め、砂糖類や調味料を加えて製造したものですが家庭用としてほとんど販売されておらず、皆さんがマーケットで購入している酢は醸造酢です。

醸造酢は、米、麦、コーン等の穀類や、果実、野菜、さとうきび、はちみつ、アルコール等の糖質を酢酸発酵させて作ったもので、原料により穀物酢や果実酢があります。

  1. 穀物酢

    米酢 : 米を1リットル中に40g以上を使った酢で、米のみで作った酢は純米酒

    黒酢 : 米を1リットル中に180g以上使用し発酵熟成で黒くなった酢

    その他 :米が40g以下で、麦、トウモロコシなどを使った酢           

  2. 果実酢 
     
    果汁を1リットル中に300g以上使った酢で、りんご酢、ぶどう酢(ワインビネガー)など

これらが、食用として販売されている酢ですが、あなたはどんな酢をお使いですか? 

酢は本当に糖尿病に良いのかを調べました

酢は食物の消化をゆっくりにする

初めて、糖尿病に酢が効果があるという論文は、1988年の日本人の報告だと言われています。

 Effect of acetic acid and vinegar on blood glucose and insulin responses to orally administered sucrose and starch.
  Ebihara K, Nakajima A.
  Agric Biol Chem. 1988;52:1311-1312.

この研究では、海老原氏らは、

 7人の健康成人に5%の酢酸を含む酢を摂取させたところインスリン反応が低下した

と報告しています。

この研究に続いて、1995年に、

  • 健康成人にホワイトビネガーを使ったサラダと精白パンを食べさせたところ血糖値が低下した
  • 中和した酢を使ったサラダドレッシングでは血糖値が低下しなかった

との報告がなされ、

 酢は健康人においても血糖値を低下させる

ことが多くの研究論文で立証されたのです。

この血糖低下作用の機序は、

Brighenti F, Castellani G, Benini L, et al. Effect of neutralized and native vinegar on blood glucose and acetate responses to a mixed meal in healthy subjects. Eur J Clin Nutr. 1995;49:242-247. Abstract

Liljeberg H, Bjorck I. Delayed gastric emptying rate may explain improved glycemia in healthy subjects to a starchy meal with added vinegar. Eur J Clin Nutr. 1998;64:886-893.

などの論文で明らかにされていますが、

 酢は食物の胃排出を遅延させる

ためだと報告されています。

すなわち、食物の消化をゆっくりとさせ、食後血糖値の上昇を穏やかにするのですね。

これは、

酢飯は白米よりもGI値が小さいということでも明らかです。

  • 白米 : 100
  • 酢飯 : 67

GI値とは食物を食べてから血糖値を上げるまでの時間をブドウ糖と相対的に比較した数値で、GI値が小さい食べ物は食後血糖を上げにくいので、糖尿病には好ましい食べ物なのです。


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酢は糖の分解を抑制する

さらに、その後の研究によって、酢は糖の分解を抑制することも分かってきました。

このことは、「酢の糖尿病に対する健康効果」のところに詳しく書きましたのでもう既に読んでくださった方も多いかも知れませんね。

血糖値を上げるのは、炭水化物の糖質です。

炭水化物の糖質は多糖類というブドウ糖がたくさん繋がったもので、小腸で吸収されるにはアミラーゼなどの消化酵素で単糖類(ブドウ糖)にまで分解される必要があるのです。

そのためには、糖が二つ繋がった二糖類が単糖類に分解されなければなりません。

二糖類を単糖類に分解するのは、α-グルコシダーゼという消化酵素なのですが、

酢はα-グルコシダーゼの活性を抑制する のです。

酢はα-リダクターゼを抑制するので糖尿病に良い

α-グルコシダーゼの活性を抑えると聞いてお気づきの方もおられるかも知れません。

そうです、α-リダクターゼ阻害は、糖尿病治療薬であるベイスンの作用と同じなのです。

武田薬品のベイスンは、小腸の2糖類の分解酵素であるα-グルコシダーゼを阻害して2糖質が単糖類(グルコース)に分解されることを抑えて食後の血糖の上昇を穏やかにする薬なのです。

さらに、

肝臓のグリコーゲンのブドウ糖の変換を抑制する作用もあるといわれているのです。

黒酢は血糖値を下げる

米黒酢は、上に書きましたように、米を穀物酢1リットルに対して180g以上使用し、副原料として小麦、大麦などを使用したもので、発酵、熟成によって黒くなった酢ですが、他の醸造酢とは異なった糖尿病に対する効果があると報告されています。

香醋は糖尿病の血糖値を下げるのページにも記載したのですが、

北陸先端科学技術大学の研究グループは、

香醋には、ブテリノイド化合物のFRAGLIDE1(フレグライド1)が含まれる

と報告しています。

フレグライド1という成分は、

  • 抗糖尿病作用
  • 肥満防止作用

がある成分で、

脂肪細胞に特異的に発現している核内受容体PPARγを活性化してアデポネクチンを分泌させる

のですが、アデポネクチンは脂質代謝に関わるホルモンの一つで、抗糖尿病作用や抗肥満効果があるのです。

しかし、残念ながら、これは8年間熟成した8年香醋にしか含まれないというのです。

研究グループの代表である辻野義雄教授は、

20万食の食品を調べたが、8年間熟成させてつくられる香醋にのみフラグライド1というPPARγを活性化する物質が含まれていることを確認した

と述べています、、、。

糖尿病に良い酢の摂り方

このように、酢の糖尿病に対する効果は科学的に証明されています。

酢にはたくさんの種類があるのですが、香醋のフレグライド1の効果を除けば、特に高価な酢を使わなければならないということはありません。

あなたがいつも使っている酢で大丈夫ですし、「酢玉ねぎ」にしなければ効果がないというわけではありませんし、酢玉ねぎの効果についてはやや疑問もあるようです。

ただし、酢の摂り方は、

  1. 食前に摂る
  2. 食事の早い時間で摂る

ことが大事です。

上に書きましたように、酢の血糖値に対する作用は、

  • 食物の胃での移動をゆっくりにして血糖値を上げない
  • 糖の分解を抑えて血糖値を急激に上げない

という作用ですから、食事後に摂っても充分の効果を発揮できないのです。

  • 酢のドレッシングをかけたサラダを食事に初めに食べる
  • 酢の物は食事の初めに食べる

というようなことが大事です。

酢はたくさん摂る必要はありません。

大さじスプーンで2杯の酢で充分だそうです。


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